STAGE 2虚数単位 i の誕生
「想像上の数」と呼ばれた数の歴史
🎯 ミッション
虚数単位 i の定義を知り、「想像上の数」が実際の計算で役に立ってしまった歴史の一幕を目撃しよう。
未達成

ねこ博士
数直線のどこにもない「2乗して−1になる数」。数学者たちはこれに名前を付けてしまった。それが虚数単位 i だ。定義はたったひとつ、i² = −1。これだけ。

うさ美
「存在しないなら、作ってしまえ」ってことですか? ずいぶん強引な気が……。

ねこ博士
実は当の数学者たちも最初は嫌々だったんだ。1545年、イタリアのカルダノはこんな問題を考えた。「足すと10、掛けると40になる2つの数を見つけよ」。うさ美くん、普通に探すと見つかるかな?

うさ美
5と5なら足して10だけど掛けたら25……。2と8なら掛けて16……。足して10になるペアをどう選んでも、積は最大で25にしかなりません。40は無理です!

ねこ博士
そう、実数では無理。ところがカルダノは「精神の苦痛をものともせず」こう書いた。5+√−15 と 5−√−15。√−15なんて意味不明だが、形式的に計算してみると……。
和:(5+√−15)+(5−√−15)= 10 ✓
積:(5+√−15)(5−√−15)= 5² −(√−15)² = 25 −(−15)= 40 ✓

うさ美
わ、本当に和が10で積が40になってる……! 「意味不明な数」なのに、計算のルールだけはちゃんと守ってくれるんですね。

ねこ博士
その後ボンベリは、3次方程式を解く途中でこの数を使うと最後にはちゃんと実数の正しい答えが出ることを示した。途中経過としては認めざるを得ない。デカルトは皮肉を込めて「想像上の数(imaginary number)」と呼んだ――これが「虚数」の語源だ。

うさ美
悪口が正式名称になっちゃったんですか……。ちょっとかわいそう。

ねこ博士
だが物語はここで終わらない。約250年後、ガウスたちがこの数の「住所」を見つけて、虚数はついに市民権を得る。その住所こそ、次のステージで訪れるガウス平面だ。
虚数は「渋々使われる便利な道具」として250年を過ごし、ガウス平面の発見でついに正式なすみかを得た
虚数単位の定義:i² = −1
√−15 = √15 × i のように、負の数の平方根は i で書き表せる
確認クイズ
Q1. 虚数単位 i の定義は「i² = ?」
正解! 定義はこれだけ。「2乗すると−1になる数」を i と名付けた。ここからすべてが始まる。
Q2. カルダノの2つの数(5+√−15)と(5−√−15)。掛け算するといくつ?
正解! (5+√−15)(5−√−15)=25−(−15)=40。「和と積の公式」どおりに計算すると、ちゃんと40が出てくる。
Q3. 「想像上の数(虚数)」という呼び名を付けたのは?
正解! デカルトが皮肉を込めて呼んだ「imaginary number」が、そのまま正式名称になった。ちなみにガウスは後年「複素数」というより中立な名前を提案している。